特集「どうなる広告規制」~おさらい編~

「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師および柔道整復師等の広告に関する検討会」(以下広告検討会)は2019(令和元)年11月以来約2年間行われていない。検討会のメンバーには新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーもおり、広告検討会よりも新型コロナ感染症関連の会合が優先され開催が中断されているものと考えられる。しかし、新型コロナワクチン接種の進み具合からすると、感染症の収束が見込まれる来年には再開されることだろう。 これまでの議論は国家資格者の院の名称の見直し(整骨院を使用禁止とし接骨院に統一) などから、「治療」という言葉の使用の可否、いわゆる無資格者の施術所の広告の見直しにまでわたり、結果次第では大きな影響が業界全体に及ぶ。この特集ではおさらいをかねて過去8回の検討事項などを紹介しつつ、あはき、柔整の広告規制の行方を読む。

この広告検討会は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(あはき師)、柔道整復師(柔整師)の違法広告問題が厚生労働省社会保障審議会・専門部会「あはき療養費検討専門委員会」「柔整療養費検討専門委員会」で指摘されたことと、2017(平成29)年に改正された医業の広告規制を踏まえ設立された。 具体的には従前の「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(あはき師)などに関する法律」や「柔道整復師(柔整師)法」の広告の部分を、インターネットなどの発達や社会構造の変化に伴い〝時代遅れ〟になっている状況に対応するために、数十年ぶりに見直そうというもの。 1 回目の広告検討会は2018(平成30)年5月に開催された。メンバーは福島統(東京慈恵会医大教育センター長)を座長として大学教授、弁護士、保険者、医師会と柔整の公益社団法人、あはきの公益社団法人3団体、東洋療法学校協会、柔整研修試験財団などの代表者の構成員13人からなる。 厚生労働省は2018年末をめどにガイドラインをとりまとめ、1年間の周知期間を経て20年度から都道府県による違法広告の取り締まりを強化する方針だったが検討会は止まったままだ。

◇ ◇ ◇

「治療という言葉は誤解や混乱を招く」と主張する健保連の構成員に対し、施術家の構成員は「治療院は医師がいる場所とは国民の誰も思っていない」と主張している。この件に関しては検討会の初期から異論が出続けており、何度論議を重ねても平行線のままだ。 これまでの論点を整理してみると施術所の名称、鍼灸院と接骨院を同一施設内で開設する場合の表記方法や「保険取り扱い」「適応症」「料金」の表記など結論が出ていないものが多い。来年には再開されるであろう広告に関する検討会ではこのまま続けても結論は出そうにない。さらに、いわゆる無資格者の施術所についてはいまだに大きな課題として残っている。そろそろ座長の決断が下されることになるだろう。 柔道整復師の施術所については、柔道整復師会の構成員が一定の理解を示したことから、ガイドライン施行後、新規開業はすべて「接骨院」となり、既存の「整骨院」も移転や名称変更時から「接骨院」に変更になる可能性が高い。 今回の広告の検討会の作業内容を単にウェブ広告のガイドラインづくりと思っている治療家がいるがそれは間違いだ。検討会の再開が報じられたときには注意深くその内容を把握してほしい。それは明日の治療院経営方法を大きく変化させることを意味するからだ。

※1回目から8回目までの検討会の詳細は、ひーりんぐマガジン72号(夏号)特集3をご覧ください※

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