特集「歯科医院に学ぶ新型コロナ感染対策」

大阪府知事の吉村洋文氏が「コロナウイルスは口の中、唾液に多く含まれている。 なのでマスクが有効だし飲食の場も指摘される。一方で利用者側がマスクできない環境に歯科医院がある。 大阪には5500もの歯科医院があるがクラスターの発生はゼロ。感染対策の賜物と思うが、何かある。(原文ママ)」 とツイートしたように大阪府だけではなく全国の歯科医院でクラスターの発生はほとんどない。 手技療法の関係では岡山県や兵庫県、長野県などで残念ながら新型コロナのクラスター発生が複数報道されている。 新型コロナワクチンの高齢者への接種が中盤に入り64歳以下の接種や職域接種も始まっているが 「集団免疫」までには先が長い。この特集ではクラスター発生が極端に少ない歯科医院の感染対策を紹介する。感染力が増した変異株の感染対策強化の参考にしてほしい。

日本歯科医師会会長の堀憲郎氏は今年3月の代議員会に提出した資料で、全都道府県の歯科医師会を通じ3回にわたって調査した歯科医院の新型コロナウイルス感染症対応に関する中間報告を発表した。 報告書では、「34都道県で歯科医師、歯科衛生士、スタッフ等の感染の報告があり、残る13府県では感染報告がなかった」「いずれの調査においても、歯科治療を通じて感染が拡大したことが明らかに疑われる事例や歯科治療を介してのクラスターの報告はなかった」 「歯科治療を通じての感染拡大報告がない背景には、歯科医療現場では日頃からマスク、手袋、ゴーグルの装用など標準予防策が徹底され、それに加えての新型コロナ対策が講じられている結果」と示されている。 4月29日に富山市の歯科医院でクラスターが発生しているが、編集部が確認した歯科医院でのクラスターの発生はこの1件だけである。

医院スタッフなどのコロナウイルス対策

◇こまめな手洗い・石けんと流水による手洗い
◇アルコール製剤による手指消毒
◇医療用ゴーグル、医療用ゴム手袋、サージカルマスクの着用
◇医療用ゴム手袋は患者ごとに交換
◇診療台や操作パネルは患者ごとに消毒
◇白衣など衣類、ガウン類の消毒を徹底
◇就業前の検温
◇スタッフの交代制と体調管理の徹底
普段から感染症対策をしっかりと行っている歯科医院で、コロナ対策として新たに導入したもののアンケート結果が掲載されていたので紹介する。


※アンケート結果は丸尾勝一郎氏「withコロナ時代の歯科医療」第2回から※

重要なことは「患者や客からの院長やスタッフへの感染を防ぐこと」「院長やスタッフから患者や客への感染を防ぐこと」「院長やスタッフ間の感染を防ぐこと」である。歯科医院の感染対策を見て「全部当院でやっている」と侮ってはいけない。もう一度しっかり歯科医院の感染対策と自院の対策を見比べて対策の再構築してみよう。 前掲のアンケートで「新型コロナウイルス収束後、歯科医院を選ぶにあたり重要視する点」という一般人へのアンケートの回答は「感染対策をきっちりしている」が最も多かった。ホームページや院内掲示などで院内感染についての対策を書き出し、しっかりと清潔な院であると訴え、宣伝することがますます重要だ。

※詳しくはひーりんぐマガジン72号夏号特集1をご覧ください。

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