特集② 知識の見直し「国家資格&民間資格」と「広告規制」

第2波と称してもいい新型コロナウイルスの感染拡大が、専門家の予想に反して夏期から起こっている。感染者の中心は20~40代の若い世代が多い。とはいえ感染者数が多く全ての年齢層に感染を恐れ外出自粛も見られ、病院、クリニック、治療院の患者減少傾向も続く。 この特集では患者は戻りつつある店舗があるものの、時間に余裕がある間に治療をとりまく知識の再構築を勧める。今回は過去の号で紹介した「いまさら聞けない国家資格&民間資格」「広告規制」を加筆修正して提供する。

国家資格と民間資格

医業と医業類似行為

医師は医師法で「医師でなければ医業をなしてはならない」と規定され、医業とは医師が行う「医学上の専門知識を基盤とする経験と技術を用いて診断し、処方、投薬、または注射、外科的手術、放射線照射などによる治療を行うこと」となっている。

柔整師、あマ指師、はり・きゅう師(あはき師)が行っている施術は医業類似行為とされていた。この医業類似行為は1962(昭和37)年の熊本地裁での判決文で、「医業類似行為とは人体に対して危害を生ずるおそれがある行為を除外したもの」とされている。

このように医業類似行為は柔整師、あはき師の独占という解釈だったが、1960(昭和35)年1月の最高裁判決をきっかけに民間資格者まで医業類似行為の枠が広がったといわれている。

=図1= 医業、医業類似行為の分類

広告規制

広告に関する検討会

治療院に掲げられている看板や旗類、チラシ、パンフレット類がこの広告規制の対象となる。

施術所を開設する場合には一部例外はあるが、開設場所を所轄する保健所に開設届けを提出するのと同時に看板等も含めた法律に準じた検査を受け、 不適切な場合は指導を受ける仕組みになっている。

しかし、規制外の看板やポスター、チラシを見かけることが多い。 これは、開設後は保健所からの広告指導がほとんどなかったことと、民間資格者施術所には規制がほとんどないことへの不満が国家資格者にあったことが要因と思われる。

社会保障審議会・医療保険部会で広告の適正化を行うべきとの指摘が数多くあったこと、さらに医業などに関する広告について見直しが行われたことを踏まえて 厚労省は「あん摩マッサージ指圧師、はり、きゅう師および柔道整復師等の広告に関する検討会」を発足させた。 検討会は1年間の周知期間を経て、今年の新年度から都道府県による違法広告の取り締まりを強化する方針だったが、 8回の開催を経ても論議が深まらないのが検討会の現状だ。

例を挙げると、施術者側は国家資格者の施術所の広告と民間資格者の施術所の広告規制の違いを挙げて対策を希望するものの、具体的な受け止めが出席構成員からなされないまま次の議題に移ってしまう。

また、あはき施術所の名称を厚労省は、 「○○あん摩マッサージ治療院」「○○はり治療院」のように、業態名+「治療院」で広告可能にすることを提案。
しかし、健康保険組合連合会の構成員は、 「治療という言葉が含まれると、医療機関や医師が関係しているのではないかとさまざまな誤解や混乱を招く」 と異議を唱えている。

これに対して施術側の構成員は 「治療院は医師がいる場所とは国民は誰も思っていない」と反論。
さらに、日本医師会の構成員は 「施術という言葉がしっかりと出ていることが、国民の正しい理解、利用者の安全確保につながる。治療院ではなく施術院を使うべき」 と反対し、
三者三様の言いっ放しとなり、継続審議という名の先送りになっている。

この先どのようなガイドラインが作成されるか予測をするのは難しい。昨年11月から検討会は開催されていないが、
国家資格者、民間資格者とも新たな広告ガイドラインの作成を論議過程から注視する必要がある。

※詳細は、ひーりんぐマガジン69号(秋号)をご覧ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!