マッサージの訪問施術の実際 【訪問医療マッサージ】

次に、あマ指師はこの悪循環を直接的に改善できる筋肉と関節の専門職であることを認識することが重要です。

在宅ケアの最大目標である 「寝たきり」 からの開放を心がけ日常生活の自立に重点を置き患者の身体を動かし、動きやすい身体にして医療ネットワークを保ちながらQOL (生活の質) の向上を図るように介入することが大切です。決して痛みをとることが最終目標ではないことを肝に銘じてください。

治癒する望みのない患者の場合、自分の人格の豊かさと専門性を絡めながら適切なアドバイスをすることにより患者の精神的不安を除きながら、少しでも容態のレベルアップが図れるよう努力を惜しまないように努めていただきたいと思います。

現在、私は約30人の患者宅を訪問し施術する忙しい毎日を過ごしておりますが、患者の内訳は脳梗塞約50% 、パーキンソン病10%、変形性腰椎狭窄症や関節症等、その他 (原疾患に伴う歩行困難) が約40%です。

 全体の約50%を占める脳血管性疾患の患者は既に維持期となっていますので、医師からの施術同意書を見るまでもなく、ほとんどの患者は廃用性関節拘縮を起こしています。
この関節拘縮は廃用性筋萎縮が原因であるとされています。

筋にはその収縮による自動的運動が可能な筋と受動運動だけが可能な筋があります。この自動運動が可能な筋は中央部分の筋腹から両端部に向かって筋線維が順次、結合線維となり骨に結合しているひも状の腱となっています。

この骨と結合している筋の両端のうち、筋が収縮する時に骨に固定され、その動きが少ない方を起始と呼び、その反対側で関節を大きく動かす方を付着または停止といいます。

この起始と付着によって結ばれた関節は筋の収縮によって運動することになりますが、筋の運動は収縮のみであり筋自体での伸展はできないため、筋を伸展させる場合は、筋の運動方向と反対の運動をする筋 (対抗筋もしくは拮抗筋という) の収縮運動によることになります。

特に高齢者の寝たきり状態の原因として最も多い脳血管性疾患の場合、循環機能の悪化と共に神経伝達異常により筋の運動が出来なくなります。この様な状態になると、もともと収縮運動のみ可能な筋肉は 「縮む」 という特性を更に顕著にするため、結合している骨を引き寄せ、次第に関節拘縮へ移行します。

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