新春特集 『2018年は業界のターニングポイント』

一部はすでに実施されているが、今年度から柔道整復の制度は施術管理者への実務経験期間の設定など数多くの変更が予定されている。あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうも受領委任制度の導入が実施されるなど制度変更が目白押しだ。さらに、柔整とあはきの養成校のカリキュラムが今年度から大幅変更となり、学生も学校も雇用者も新たな流れの中で変化せざるをえない。本特集では柔整を中心に今年からどのように制度が変わる予定なのかを紹介する。

制度改革のきっかけ

柔整、あはき療養費は、診療報酬改定と同じ偶数年に改定されてきた。厚生労働省(厚労省)から発表された通り異論もなく粛々と行われていた。ところが、2012(平成24)年6月頃に予定されていた療養費の改定が翌年に延期されることになった。その理由の一つに、10年度の療養費改定後、会計検査院から出された検査報告がある。柔整療養費の支給を適正なものとするよう意見が出されたのだ。柔整療養費の支給対象となる負傷の範囲を例示するなど、算定基準がより明確になるような検討を行うとともに、長期あるいは頻回の施術のときに申請書にその理由を記載する方策をとることなどが必要とされた。

柔道整復の制度改定

柔整の制度改定については2012(平成24)年から約5年間、12回にわたり社会保障審議会医療保険部会「柔道整復療養費検討専門委員会」で議論されてきた。委員会は座長、有識者(医師、大学教授など)、保険者側・施術者側それぞれの意見を反映する者、そして事務局として厚労省の療養費関係職員などが出席している。議論の主な内容は支給対象の明確化、療養費不正請求への対応のための審査の重点化、療養費詐取事件への対応強化、施術管理者の要件強化、その他となっている。改定の一部は昨年から実施されているが、今年度実施されるだろう制度改定の概要が見えてきた。
今年4月から実施されるのは、①受領委任制度施術管理者になる場合の要件だ。厚労省は昨年11月20日の検討専門委員会で柔整師が受領委任払いを取り扱う施術管理者になる場合の実務経験と研修受講要件を示している。
実務経験は原則3年。施術管理者要件に関し、施術所が発行する「実務経験期間証明書」により、雇用契約期間を通算する。施行前の2017(平成29)年度に4年制の養成学校に入学した学生に配慮し、21年度まで実務経験1年でも開設は可能とし、22~23年度は実務経験を2年、24年度から3年とした。新たに研修を義務化し、受講時間を16時間、2日程度とした。

柔道整復養成校のカリキュラム改定

2015(平成27年)年に厚労省は柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会を設置した。この検討会では15年から5回にわたり議論と検討を重ねた。新たなカリキュラムは今年度の入学者から適用される。あはきの養成校でも同様にカリキュラム改定が行われるが、追加カリキュラム以外はほぼ同じだ。
柔整養成校の改定の主な内容は、総単位数を現行の85単位から追加カリキュラムを含め99単位以上に引き上げるとされた。追加カリキュラムは下記の通り。

①高齢者と競技者の生理学的特徴・変化(専門基礎分野)1単位 15時間
②競技者の生理学的特徴・変化(専門基礎分野)1単位 15時間
③柔道整復術の適応 (専門基礎分野) 2単位 30時間
④職業倫理 (専門基礎分野) 1単位 15時間
⑤社会保障制度 (専門基礎分野)1単位 15時間  他

これまでお上の言いなりに近かった療養費、グレーな部分を包含していた支給基準が検討専門委員会の議論によって浮き彫りにされてきた。まだ明確になったと言えない支給基準だが、制度改革・養成校改革によってようやく徒弟制度による業界が終焉を迎える先が見えてきた。専門委員会を機に柔整の新たな団体も登場した。業界が新たな道を進むためのターニングポイントが今年だと考える。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン58号(新春号)をご覧ください。

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